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『面白い会社を目指して 髙谷 将宏さん』
  ─ 株式会社エヌエスシー 

2019.2.21

髙谷 将宏(Masahiro TAKAYA)

髙谷 将宏

株式会社エヌエスシー
執行役員 髙谷 将宏さん

1.学生向けの業界研究セミナーや新人社員向けの研修の講師をされているとお聞きしました。そのセミナーや研修の内容をお聞かせください。
セミナーは主に2種類、開催しています。
一つは、業界研究セミナーで、この業界がどんなことをしているかを知ってもらうためのセミナーです。学生さんは「システム開発」や「Web開発」など言葉は聞いたことがあっても中身は理解していないことが多く、ある大学での調査では、入学前に約8割の学生がこの業界はブラックだという印象を持っているという結果が出ました。実際の仕事内容を、見て聞いて理解してもらうにつれて、その印象がなくなってくることが分かり、まずは業界を知ってもらおうというセミナーを企画しました。
もうひとつは、就職活動における基本的なことを解説するセミナーを行っております。学生さんの中にはどうやってビルの中に入ってエレベーターに乗って受付をすればいいのか分からないという方もいるので、会社の人とお話をするということはこういうことなんだよという初歩的なところから学んでもらっています。
― 研修ではどのようなことを行っているんですか?
研修のほうは、主にプログラミング等を全く経験したことのない新人社員向けにプログラミングの考え方や日頃の業務の内容を解説する、本格的なプログラミングを学ぶ前の前座のような研修も行っております。文系の学生が相対的に多いのですが、彼らがなにで苦労するかというとプログラミングに向けたものの考え方や仕組みが理解できない、ということが挙げられます。私自身、前もってこれを教えてもらえるとよかったなという思いがあって、今は全くパソコンを使わずにプログラミングに向けた「考え方」の研修をやっています。幸い、面白いといってくれる方が多いのでもうしばらくやってみてよりこの業界に還元できるような内容を残せればと思っています。
― パソコンを使わずに、とは具体的にどのような研修なのですか?
例えば、日常生活で誰もが経験するようなちょっとした動作や流れをグループごとに議論してもらって、それを言葉にして羅列し、それらを業務に置き換えて、業務フロー化してもらうということをやってもらっています。単純のような気がするのですが、グループで考えてもらうことでいろんな人たちの意見を反映させたり、自分は普通と思っている作り方が実は一般的ではなかったりだとか簡単な内容だからこそとっつきやすく、それをフローにすることで面白く感じてもらっているようです。そこから徐々に実際の業界の業務に置き換えてケーススタディをしてもらってからその内容を消化していくということをしています。その他、派遣制度や労働法規、個人情報保護法、セキュリティに関する法律や一般的な座学に近い内容の紹介もしております。
2.御社(エヌエスシー)内だけではなく、業界全体での活動もされている動機をお聞かせください。
最初のきっかけは漠然と、学生との接点を増やして自社の採用活動に活かすことができればいいなと思っていたのですが、やっていくうちに自社だけでは対応できないものも多く、他社さんのほうが適しているジャンルのものも多くありました。2,3社と一緒に相談してやるほうが結果として仙台、宮城、IT業界全体が活性化し、自社も伸びるということが今はエンジンになっていますね。
3.髙谷さん自身の質問をさせてください。今までのキャリアをお聞かせいただけるでしょうか。
3年前までは県内の高校の数学教員でした。それもあってもともと人に何かを教えること、話すこと、特に数学関連についてはいまだに好きなので教育というワードには結構敏感です。21年教員をやってきて、この業界には未経験で入ったので、ちょっと異色かもしれないですね。
― 相当な決意が必要だったのではないですか?
20年一区切りといいますか、まったく新たな場所に身を置いてやってみようという気持ちもあり、この業界に転じることを決心しました。
教育関係と携わることがなくなるかと思い悩んだ時期もありますが、先ほどお話したセミナーや研修を担当することもできて、教育って学校だけではないということもわかったので面白いですね。
4.髙谷さんの日々のお仕事をお聞かせください。
現在は、社内の管理業務、経営全般、社内で勉強会を主催したり、営業活動も行っております。既存のお客様はもちろん、これまで関わったことのない業種のお客様との接点を増やすことも私の仕事だと思っています。最近力を入れているのは社内での有志の勉強会ですね。月に1回開催しています。ライトニングトークをしたり、テーマを決めてディスカッションをしたり、普段何を考えているのかを日々やりとりできる雰囲気を作っていきたいという思いもあります。まだ参加数は少ないのですが、ここから和を広げて社員のやってみたいことなどを拾い上げて、それを具現化できる体制を整えていけたらいいなと思っています。
5.御社の特徴を教えてください。
特徴としては、我々は「面白い」ということを大事にしています。仕事をするときに納期や品質などシビアな部分はもちろんきちんとしますが、そのシステムを実現するとお客さんや自分たちにどんな面白さが残るのかということを日々念頭に置いて案件を成し遂げています。技術者の方って職人に近かったりするので、ポリシーや考え方が仕事に反映されやすいと思うのですが、その原動力は何かというとやはりものを作ることの楽しさ、いい仕事をしたいという気持ちだと思うんです。それをまず一番に掲げているというのが特徴かと思います。
お客さまの層としては社会インフラに係る業種が多いのですが、最近はまったく別業種のお客様からのご相談も受けるので、そこをどう伸ばしていくかというのが課題でもあります。
6.御社はこれからどういった事を実現されたいと考えていますか。(どういった会社を目指したいと考えていますか)
今後取り組んでいきたいこととしては、ひとつに自社のイメージアップを考えています。我々の会社は、技術力はあるのに発信力や表現力が乏しい部分があるのでコーポレートアイディンティティといいますか、そういうところを強化したいと思っています。
事業としては、最近、お客様からシステム開発だけではなく、ハードの入れ替えや会社全体のコンサルを求められることが増えているので、コンサルテーション一気通貫型のビジネスモデルを考えたいと思っています。その他、これまでとは違う業種のお客様と組んで新しいシステムを作るイノベーション的なことにも興味があります。あとは、教育部分ですね。研修の講師などをやっていて気が付いたのが、この業界は技術を「見て学べ」という傾向があるので、社内社外向けのエデュケーションをもっと充実させていけたらなと思っています。
7.これから2020年新卒の採用活動が本格化しますが、どういった学生との出会いを期待されていますか。
この業界の最大の魅力は、お客さんの懐に入りこんで、そのお客さんの本当に困っているところはなにかということ知り、解決することだと考えています。普段自分たちが見聞きしている会社が実はこんなことで困っているんだということを知って、「この国の未来を支えなくてはいけない」という視点で自負心を持った人との出会いを期待しています。あとは、仕事以外で打ち込むことのできる趣味や活動の場を持っている行動的な学生さんと出会えればいいと思っています。

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