企業を知る

『とことん面倒見主義』
  ─ 株式会社ステップ 

2015.11.27

トップインタビュー
株式会社ステップ 鈴木 茂 代表 (聞き手)伊達なICT-WORK運営事務局

『信頼される技術×信頼される人間』

-御社のホームページを拝見して、TOPページの「信頼される技術×信頼される人間」というコピーがとても素敵だなと思いました。どんな思いが込められていますか?

鈴木: コンピュータに関わる知識や能力も大切ですが、まず人間として信頼されることが一番だと考えています。当社は創業来、コンピュータに関わるあらゆるご要望、ご相談には全てすべてお応えする姿勢を大事にしてきました。何でも気軽に相談できる会社がモットーです。当社には、お客様の課題を解決するための確かな技術力を持った社員が大勢いますが、お客様との仕事は、まず人間として信頼を得られなければ始まりません。そういう意味で人財育成には特に力を入れています。「技術×人間」こそが、確かな信用を醸成するという信念があります。

-なるほど、「信用第一」という思いが伝わってきます。

 

駅前・18階、快適な職場環境を目指して・・

-駅前の一等地、しかも18階、眺望が最高ですね。

株式会社ステップ

鈴木: 当社は、自社開発も行っているので社内で働く社員も多くいます。安心で働きやすい環境、通勤しやすい環境は重要だと考えて、平成22年8月に移転してしました。教育や研修に使える会議室も併設されていて職場環境としては社員にも喜んでもらっていると思っています。

また、採用活動でも強力な武器になっています。実際にオフィスに来て「ここで働きたい!」と思ってもらえる環境があるのは強みです。

-なるほど、仙台の四季折々の風景を眺められる社員がうらやましくなりますね。

 

元高校球児、新聞奨学生、ICTとは無縁だった青年時代

-ところで、社長がこの業界に入られたきっかけ、起業についてお聞かせください。

鈴木: 私は元高校球児でした。某私立高校の野球部で寝ても覚めても野球、野球という学生時代を過ごしました。家が貧しかったため高校に通わせてもらうのが精一杯、初めから進学は諦めていました。卒業後、野球も続けたく千葉県の会社に就職したものの入社2年後にサッカー部の先輩から「いつまでも野球をやっている場合じゃないぞ、これからはコンピュータの時代だ。東京に来い」と導かれ東京でコンピュータ技術を専門学校で学ぶことになりました。しかしお金がありません。そこで学費と生活費は新聞社の奨学金制度に頼ることになります。朝4時起きで新聞を配り、眠い目をこすって授業を受け、帰ればすぐ夕刊を配り、食事を早々に済ませ今度は翌日の広告折込、月末には集金、拡張という名の新聞購読のお客様獲得営業もノルマがありました。年に休みは1月2日の1日だけ、野球で鍛えた体力と多少の根性と貧しいながら高校に行かせてくれた親への感謝で、頑張れたと思っています。学校の成績ではなく新聞販売店の営業成績が評価され卒業時、“店を任せるから”と引き留められましたが、仙台に戻ることを決意しました。新聞配達を通していろいろなことを勉強させてもらいました。実はこの2年間が、私の今を決めたのかもしれません。

仙台に戻り、情報処理の専門会社にお世話になりました。いろいろなご縁をいただき先輩の経営する会社を皮切りに2社のソフト会社で修行させていただいて平成3年3月コンピュータソフトウェアの専門会社として株式会社ステップを設立しました。

私が恵まれていたのは人の縁です。当社の主力は航空管制と防衛に関わるシステム開発ですが、航空管制の仕事は前の会社から引継いでいただいたもので、今でも前社の社長には本当に感謝しています。業界とは無縁だった私が、ここまで来られたのは、さまざまな方々とのご縁だったと本当に感謝しています。


 

選手(技術者)を引退した後のことを考えた人間教育

-社員教育に力を入れているとお聞きしましたが?

鈴木: 社員教育は重要だと考えて、業界でも先駆けて教育機関を設置したり、研修にも力を入れています。

しかし、一番大切なのは技術よりも人間力です。特に人とのコミュニケーションをとることが大切だと考えています。まず、人として・・挨拶を大切にさせています。相手に対して誠意を感じる挨拶ができること。それが基本です。

技術者は野球選手やサッカー選手と同じで選手(技術者)としての寿命には限りがあります。技術者を引退した後に会社で何ができるかが大切だと思っています。将来指導者になって後輩(部下)を育てる人、また営業部署でお客様との窓口役、あるいは経営的立場など来たるべき時に備え、人間力がある人材に育ってほしいというのが私の思いです。「とことん面倒を見る」社員には、厳しさと優しさ、愛情を持って接することを心がけてきました。

そんな会社の取り組みが実を結んで、確実に会社も社員も成長してきている実感があります。一人でスタートした会社が今では100名を超える大所帯となりました。高校野球に例えると創業当初は1回戦で敗退していたチーム、「5年後にベスト16、10年後にはベスト8の常連、そして決勝に出られるようになろう。いつか甲子園、全国区を目指そう。」と言い続けてきました。おかげさまで、現在地はベスト8の常連くらいと思っています。これからも一歩一歩積み重ねですね。


 

志を高く、日本を代表する会社を目指して“一歩一歩”確実な発展

-これからどんな会社を目指しますか?

鈴木: 社名には一歩一歩着実に歩み続けるという思いが込められています。急がずに、社員一人ひとりが力を発揮できる企業規模で足場のしっかりした経営を続けてきました。創業当初は、業界そのものも未成熟で、人と人との信用が仕事を生んでいった時代です。仕事の原点は「人との縁」互いの信頼関係だと思っています。

「信用を第一に考え、急激な発展より、社名どおり“一歩一歩”確実な発展と、情報処理を通して地域社会の発展に貢献する。それと共に社員がよりよい生活を送れるよう努力する」これが我が社の経営理念です。 近年、情報処理技術の進歩と発展は目ざましく、さらに進化し続けます。そのような環境にすぐさま対応できる よう、今後も新しい技術に積極的にチャレンジし、地域社会の情報化推進の発展に貢献できるよう努力していきます。

社員一人一人が成長して、将来は日本を代表するような会社を目指していきます。もちろん急がず一歩一歩ですが、歩みを止めずに進めていきます。


 

可能性を秘めた業界、苦労を惜しまず挑戦を・・

-最後に、業界を目指す若い人たちへメッセージをお願いします。

鈴木: 本当は警察官になりたかった私が一番苦手なICT業界で社長をしています。人生どう転ぶかわからないですね。

また野球の話で恐縮ですが、我が家は母親と4人兄弟の5人家族でした。高校にさえ通える状況ではなかった私に野球を続けさせてくれた親には大変感謝しています。親への感謝の思いがなかったら途中で挫折していたかもしれません。私は野球選手としては素質もなくへたでした。だけど勝ってきました。へたくそでも一生懸命頑張れば何とかなるということを教えてもらいました。この社会も同じことが言えるのではないでしょうか。将来を決るのは、人生どこで苦労するかだと思っています。どうせだったら若いうちに苦労したほうがいい、ひと頑張りしたほうがいい。運はそんな人に寄って来るような気がするんですね。ひと頑張りの後は意外に明るいことが多いものですよ。自分が作ったシステムが世の中で役立っていることを実感できることを思うとわくわくしますね。まだまだ成長する業界です。若い人たちにはぜひ苦労を惜しまず挑戦してほしいですね。