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『ITエンジニアが楽しくプライドを持って働ける環境作り 柿沼 清孝さん』
  ─ SES(エスイーエス)株式会社 

2020.3.11

柿沼 清孝 (Kiyotaka Kakinuma)

SES(エスイーエス)株式会社 代表取締役社長 柿沼清孝さん

学校卒業後どのようにして現在に至りましたか。

私のキャリアは証券会社の営業から始まりました。新卒で証券会社に入りましたが、もともとITベンチャーに興味を持っていたので、転職をして当時はまだ小さかった大手SNS会社にお世話になりました。ITに携わったのはその会社に入社してからです。

SNS会社の時は広告営業をしており、入社した頃から急成長し、2年ほどで東証マザーズへ上場しました。私は50番目くらいに入社した社員でしたが、その後も1か月に10人〜20人ほど入ってきて150人くらいになり、企業として大きくなってきた為、頃合いだと考え仙台に来て2010年にコミィ株式会社を立ち上げました。プログラミングを始めたのは仙台に来て会社を立ち上げてからで、完全独学で勉強しました。

コミィは今年で10期目になります。もともとコミィは自社サービスの運営で始めたのですが収益化が難しく、受託開発も請け負うようになりました。コミィは前職東京で働いていた関係でやはり東京のお客様が多かったので、仙台で地歩 を固めたいと思い2017年に子会社SES株式会社を立ち上げました。

会社をわけた理由はなぜですか。
いくつか理由はありますが、1つはコミィではITベンチャー・自社サービス開発を押し出していたので、入社後客先に行くのを嫌がるエンジニアもおり、それならば入社時にしっかりと説明ができると会社としてわけ、SES専業の会社を作ろうと考えました。またコミィの時に何の会社かわからないと言われることが多かったので、SESは社名を見ればすぐにわかるようにしました。おかげで「仙台 SES」で検索すると1位になっています(笑)
仙台を選んだ理由はなんですか。
起業準備の時に事業計画書が宮城県の助成金事業に通ったのがきっかけです。東京にこだわっていたわけではなかったのでせっかく認められたのなら仙台でやってみようと思いました。
企業理念に「IT×教育×地域密着」とありますが、具体的に教えてください。

IT業界はネット上ではブラックとか評判が良くないですよね。しかし、前職の経験上熱中できるしっかりとした環境であれば、すごく楽しく技術を追求できるということがわかっていましたので、SESを立ち上げた時にそういう場を作れるようにしたいと考えました。

地域密着については仙台で事業として拡大していこうというのがあったので「仙台のお客さんを大事に」というところからきています。教育は仙台ではエンジニアのなり手が少ないと思っています。学生でエンジニアやプログラミングに興味を持つ人はとても多いのですが、職業として選ぶ人は少ないため、そういう人でもチャレンジし、かつ熱中できる環境を作れたら楽しいのではないかと考えています。

他社とは違う自社の特徴はなんでしょうか。
コミィも重なってしまいますが、ITベンチャーの経験を持っていて、それを社員に伝えられるのは強みだと思っています。しかし、ベンチャーにありがちな徹夜なども辞さないといった働き方ではなく、なぜ皆が地元仙台で働きたいのか という点について考えた結果、SESでは基本的に極力残業をせず、業務時間内に最大限のパフォーマンスを出してもらうことを重要視しています。その分、仕事以外の時間を充実させたり、自分の勉強に当てたりしてほしいと考えています。他社よりも有給や手当などの福利厚生も手厚くしています。同じスキル・年齢のエンジニアさんでしたら他の企業よりも給料・福利厚生含めて働きやすく、技術を追求できる環境が整っているという自信があります!
帰属意識が低くならないために意識していることはありますか。

始めたばかりのころ、やはりその点は心配していました。ただ先述の通り極力給与面・福利厚生面を厚くすること、他社より働きやすい環境を意識的に用意することで従業員は定着してくれるのではないかと考えています。

一例として、弊社は社内で作業する時には私服ですし、音楽を聞きながらやなにかを食べながら作業しても良いとしています。経験上、プログラミングに集中する為にはリラックスした快適な空間で集中することが重要と考えているので、その点はかなり意識しています。

また、客先に出ている従業員に対しても、自分の時間を大切にしてもらうために特定の帰社日というものを設けていません。必要があればグループチャットなどで密にコミュニケーションを取っていますし、また月に一度定例会として、費用は会社持ちで現地集合現地解散の飲み会をしています。

仙台で暮らしていること、仙台で働く魅力は何ですか。

気候がいい。春や秋の季節が好きです。埼玉出身で関東ではどこに行くにもとても時間がかかったり満員電車も当たり前ですが、仙台は海も温泉も近く、居住環境がとても優れていると感じます。この魅力も福利厚生に結びついていると思っています。

私以外地元出身で、地元で働きたい人ばかりです。私自身は20代の頃、とにかく夜遅くまで働き仕事の成果をあげていくという働き方でしたし、それで成長できた部分も少なからずあるのではないかと考えています。ただ、仙台で人を雇い入れて行くときに、地元で働きたいという人たちは会社に何を求めどうしたら長く働いてくれるだろうかと考えました。結論、会社として口で言うだけではなく、従業員のワーク・ライフ・バランスの充実を実際に仕組みとして後押しできる会社が、大小問わず、これからの時代は選ばれて行くのではないかと考えています。SESは残業も極力ないように推進し、土日祝日完全に休みにし ています。

仙台のIT業界について感じることはありますか。
東京との対比になりますが、自社サービス単体で経営できている企業が非常に少ないと思っています。これは弊社にももちろん言える事なので、私自身これから作っていきたいと思っています。SESを始めるまでは、正直システムエンジニアリングサービスに少々懐疑的でしたが、現在は始めてよかったと考えています。受託とSESでバランスを取りながら、今後はコミィの自社製品の開発が今後の課題だと思っています。
エンジニアという職業の魅力、業界全体の魅力は何でしょうか。

魅力としていえばやはり「ものづくりが簡単に取り組める」ということがあります。例えば、車作りたいとかビル建てたいというハードのものづくりはそうそう簡単に行える話ではないですが、プログラミングはパソコン一台あればできるところです。

業界全体の魅力はイニシャルコストがかからなくていろいろ事業を起こしうる可能性、チャンスがあるところです。まだ立ち上がって20年〜30年くらいの業界なのでまだまだ成長する業界なのも魅力です。

初めてプログラミングをしてみたときはどうでしたか。
PHPを勉強しようとしてJavaの本を買ってしまったというエピソードがあります。PHPとJavaはもちろん、HTMLとの違いも分からないほどのレベルから始めました。最初の2〜3カ月は全く理解できず、仙台にきて知り合いが一人もいなかった為誰にも聞けず、やることといえば入門の薄い本をひたすら写経をしていました。サービスのリリース日だけ決めていたので、とても焦りましたが、ある時DBと組み合わせたお問い合わせフォームを作った時に腹落ちして、突然わかるようになりました。それから4カ月くらいで一気にできるようになりました。今から考えるとプログラミングの楽しさを30歳手前で味わえたのはとてもラッキーだったと思っています。30歳手前でゼロからプログラミングを独習したこの経験は今とても生きていて、未経験で始める人にありがちな「何がわからないのかがわからない」という気持ちがすごくわかります。レベルアップするのが自分自身でわかると感動的ですよ。
ITに興味がある学生は多いのですが、昔のブラックのイメージや、客先常駐に怯えている場合があるのですがいかがでしょうか。

客先に若手1人で行くことはないですし、チームで行くので安心してください。客先常駐の楽しさは通常ではなかなか関わることのない新しい業界に関われるところです。プログラマーの経験としては自社サービスをやっている人よりい ろいろな経験をできるので将来的に独立したい人にはSESのほうが向いているかもしれません。自社サービスだと仕様を考える時間が長く、実装に携われる時間が少ないですが、SESは幅広い業界に携われて、プログラミングに集中できます。

弊社に入社されたら、まずeラーニングで本人の進捗に合わせて基礎的な勉強をしてもらいます。その後必要あればMISAや外部の研修にも参加していただき、未経験で入社した人に対して充実した研修制度を用意しています。案件に入る前に充分な勉強をしてもらってから業務を行ってもらいます。社員に対しては会社として強制するものは極力減らしており極力残業もさせません。プライベートな時間で自分のスキルアップをしてもらえればと資格取得を推奨しております。IPAなど業務に関する資格は手当として毎月給料に上乗せされます。また業務に関係する書籍はすべて会社負担で購入できます。あとは、なるべくスペックの良いパソコンを準備しています。

インターンの受け入れはされていますか?
受け入れています。受け入れを始めたのはここ3、4年くらいで、毎年、大学や専門学校などから多いときで7,8人くらい、未経験も受け入れていますので気にせず挑戦してほしいです。長いと3ヶ月くらい、短いと1週間くらいの受け入れをしています。
採用についておしえてください。

現状は経験者、中途未経験・新卒の採用を行っています。経験者にはスキルは前提として、それ以上に人柄・コミュニケーション能力を求めています。システム開発は一人で黙って作るのではなく、チームでコミュニケーションをとりながら作っていく事がほとんどですので、スキルだけでは採用しない場合があります。

未経験、新卒は成長性、努力できるかどうかを見ています。未経験で始めると最初の期間はわからないことばかりですが、その谷は結局本人の努力によってしか乗り越えられません。独学の場合その谷でつまずいてしまう人がほとんどではないでしょうか。ただ先述の私の経験のようにそこを乗り越えた瞬間プログラミングの楽しさを実感できると思うので、その為の会社としてできるフォローは最大限させていただきます。

未経験の方については学歴不問で、高卒、中卒でもやる気次第です!私自身、完全文系で営業経験からプログラミングを始めたので本人の前向きな気持ちがとても重要だと思っています。

若手へどのような期待をしますか。
プログラミングを楽しんでもらえればと思います。如何にしてその人たちの能力をお金にして還元するかは私が考えるので、入った案件をとにかく楽しんでもらいたいです。
就職活動中のビジネスパーソン、若手への言葉をお願いします。

私たちの頃より働きやすい環境になっていると思います。最近はどの企業もインターンを積極的に行っていると思うので経験してみてください。就活サイトなどを経由した正式なインターン受け入れ企業ではなくても、直接問い合わせをしてみれば案外受け入れてもらえることも多いです。ハードルが高そうに見えますが、学生というだけで優しく見守ってくれる企業も多いと思いますので、是非飛び込んでみてください!インターンは就職などと違い、リスクがないので是非チャレンジしてほしいと思います。

若い文系ビジネスパーソンには、プログラマーは一見難しそうに感じますが、学歴も関係ないですし数学が分からなくてもかなりの程度できるようにはなれますので、興味がある人は気軽に挑戦してほしいと思います。ただ働きながらいきなり飛び込むのはリスクがあるので、遊び半分でいいので休日プログラマーなどで挑戦してほしいと思います。プログラミングを始めるのにパソコン1台あればできるし、今はインターネット上に情報がかなり多くあり、ほとんどお金はかからないですから。あとは自分でサービスを作るのはやっぱり楽しいので是非作ってみてほしいです。

これからどんな会社を目指していきますか。
言うとだいたい笑われてしまいますが、やはり当初の目標であくまで上場を目指しています。ここ20年くらい仙台のIT企業で上場した企業はまだないと気づいたんです。自分たちが成功してモデルケースになることで仙台に貢献できればと思っています。そして働いている従業員が自分の会社を自慢できる会社になりたいと思っています。やっぱりうちが一番居心地がいいと思える会社にしていきたいです。教育体制やエンジニア同士のコミュニケーションを重視しており、対外的に言えばSESに所属しているというだけで能力を認めてもらえるような会社にしていきたいと考えています。

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