企業を知る

『社員が昼寝をする?』
  ─ 株式会社コー・ワークス 

2015.11.18

トップインタビュー
株式会社コー・ワークス 代表取締役社長 淡路 義和 (聞き手)伊達なICT-WORK運営事務局

『前職は移動クレープ屋さん?』

-御社のホームページを拝見して、まず目に飛び込んでくるのが「社員は昼寝をする」というコピーですが?

淡路: そうなんです。うちの社員は昼寝が出来るんです。笑

当社では、眠いときのお昼寝を推奨しています。眠いのに仕事をするのは効率が悪いですよね。そのため、社員のイスは150度倒れるものになっています。お昼寝で眠気を取ってから能率よく仕事を行い、無駄な時間を省いて出来る限り早く帰れる環境を作る。会社にも社員にも都合がよいと思いませんか?もちろん、お昼寝をしたくないときは、する必要はありません。仕事の納期も個人個人に任せてあるので、ある意味自主性を尊重してクオリティの高い仕事をしてもらうというのが、当社の働き方です。

-社員を信頼してますね。大人の会社という気がします。 起業のきっかけを教えてください。

淡路: 私は生まれが秋田県です。親の転勤で高校時代に仙台に来て、大学も仙台でした。なんとなくその流れで情報系の大手企業に就職しました。するとすぐに栃木に居を構える某大手自動車メーカーR&D向けシステム構築のプロジェクトに参画することが決まり、最初は現地にて2ヶ月作業する予定が5年もいることになりました。その時はお客様と膝を突き合わせ、積み上げていきながら仕事をする機会に恵まれましたが、その後の仕事はお客様の顔を見ることもなく黙々と机のPCに向かい、がんばっても感謝されることのない仕事に追われる日々に嫌気がさし、社員が強みを活かしモチベーション高く仕事が出来る組織を作りたい、という欲求から起業するべく退職を決意しました。

仙台に戻って経営を勉強しようと、まずFCの移動クレープ屋さんを1年半経験しました。飲食も経営も全く未体験ですから、それはそれで結構楽しかったです。移動販売は調理、接客から損益計算まで全て自分でやるので、事業経営や営業の勉強になりました。何よりも自ら考え行動する習慣がつきました。

その後、縁あって小さな会社の執行役員を任されてSEに復帰しました。いろいろな方との出会いとご支援を得ながらIT業界の経営を学ぶことができました。

2009年4月、満を持して会社を設立しました。結婚から妻の出産、そして起業がほぼ重なっていたので、周囲からは「大丈夫?」と心配されましたが、私には確信があったような気がします。

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大手企業では、安定はあるがイノベーションは起こせない

-その確信とはなんですか?

淡路: 私の最大の強みは“良い出会いに恵まれる能力”があるからです。笑

せっかく自分が会社をやるなら、何か革命的なことをやろうという気概もありました。退職後にいろいろな方とのご縁をいただき、友人の紹介もあり取引先にある程度めどがあったことも幸いしました。

創業当初から、お客様にも社員にも仕事にも良い出会いがたくさんあり本当に感謝しています。

大手企業にいた経験もあり、大手企業の良いところも悪いところも味わいました。確かに給料はそこそこで安定している。しかし、本当の意味でのイノベーションは起こせないと実感していました。

自分の会社ですから、様々な強みを持った社員と共に直接お客様の声を聴き、寄り添いながら課題解決する仕事が楽しくて楽しくて(笑)、起業して本当に良かったと思っています。


 

仲良く別れる起業教育

-社員教育に力を入れているとお聞きしましたが?

淡路: 私は入社する人に「最後は出来ることなら辞めて欲しい」と話します。会社を大きくするのが目的ではなく社会にイノベーションを起こすのが目的ですから、当社でステップアップしてもらって、一人でも仕事が出来るように教育しています。一人前になった時に仲良く別れる、子育てと一緒だと思っています。私の子供はまだ小さいですが。笑

目標が高いところにあって届かないのであれば手伝い、届きそうなところは自分でやらせる。会社は何時潰れるかわからない生きものですから、社員にはちゃんと自己防衛してもらう、当社の社員は非常に優秀だと思っています。

将来、独立した会社同士がアライアンスを組んでイノベーションを起こせるようになりたいですね。


 

いつも考えているのは化学変化?

淡路: 当社には個性的で能力が高く、且つ自立している社員が多くいます。そんな社員の能力を、どうしたら最大限発揮できる環境が作れるのか、また、どのような体制を組んだり、社外の方たちと引き合わせれば化学変化が生まれるのか、そんなことばかりを考えて過ごす日々です。

ここには楽しく働くためのいろいろなアイディアがあります。先ほどの「昼寝の推奨」もそうですが、「当社独自の給与計算の公式」もあります。個人の役割や責任、それに対する結果を踏まえて話し合いにより決定します。給与を決めるのは“マーケット”です。効率よく仕事をして、有限である時間の価値を最大限に高めた「質の高さ」を評価しています。「出社しない働き方」や「女性に優しい働き方」など多様化する働き方を考える。いつも何かと何かが出会って化学変化を起こしている会社でありたいですね。


 

仙台の「心地良い中途半端さ」が好きですね

-仙台で暮らしていることについて感想をお願いします。

淡路: 昨年、霊屋下に自宅を引っ越しました。広瀬川がゆっくり流れ、自社まで徒歩10分、事務所が入っているビルは見えませんが、隣のトラストタワーを眺望できます。仙台は、東京にも近いし、そこそこ都会で田舎、東京ほど都会ではないが秋田ほど田舎でもない、何とも中途半端なところが心地良いですね。高校・大学と青春時代を過ごしたこともあり暮らしやすい良い街です。最近どんどん市街地が新しくなってきていますが、秋田出身ですから田舎らしさもまだまだ残してほしいですね。

課題があるとすると、何となく受け身な人が多いような気がします。東北人気質でしょうか?いや仙台の人に特に感じます。東北の中心で支店経済、中央からお金が回ってくるのでついつい保守的になってしますところがあるからでしょうか。もっと攻めていかないとダメですね。


 

モチベーションが上がる柔軟な会社・組織

-これからどんな会社を目指しますか?

淡路: 現在は、 お客様にもとても恵まれ、やりがいのある仕事を多くご相談いただいており、ただただ感謝の毎日です。これからも慢心せず、出会いやご縁を大切にしながら、お客様のお役に立ち、社会の役に立ちたいと思っています。

そのためには、とにかく優秀な人材と出会いたいですね。私は「良い出会いに恵まれる能力」があると信じていますから。(笑)

私の考える優秀な人とは、ビジネススキルも大切ですが「自分で考えて行動できる」意欲がある人ですね。

我が社は、出会った一人一人の強みと弱みを把握できるような組織体を目指しています。強いところを活かせるほうが仕事は楽しいですしね。それがモチベーションをアップさせるからもっと高いクオリティになります。逆に弱いところは会社や他の人がフォローできるような組織が理想です。その結果が売り上げに繋がれば会社も個人もハッピーですよね。私はテレワーク(在宅勤務)も含めてもっと自由で柔軟な働き方ができる会社が将来生き残ると思っています。

上と下との壁がないのも良い組織の条件だと思っています。目指しているのは、社員のモチベーションが上がる、自分のスキルを最大限に活かせる柔軟な会社・組織です。

理想の実現のために、化学変化を起こせる新しい人材と出会いたいですね。